ウイスキー保管のコツ! 自宅からトランクルームまで完全ガイド
香り高く味わいも深いウイスキーは、グラスに注いでゆっくりと琥珀(こはく)色の輝きを楽しむのがぴったりの「大人のお酒」です。ウイスキーにはさまざまな種類があり、リーズナブルなものから高価なものまで幅広くそろっています。
そんなウイスキーを愛飲する人にとって共通のお悩みといえば「どうやって保存するのが一番いいのか」ということでしょう。高価なウイスキーは時間をかけてじっくり楽しみたいのですが、保存方法が悪いとせっかくの香りや味が損なわれてしまいます。
そこで、ここではウイスキーの保存に関してのお役立ち情報をご紹介しましょう。
この特集を読むことで、大切なウイスキーをどのように保存すればいいのかがおわかりいただけます。ウイスキーの香りや味をキープするために、ぜひ参考にしてください。
1.ウイスキーの基本的な保存知識
お酒は、種類によって冷蔵庫で冷やす、冷暗所に置くなどして保存するのが一般的です。では、ウイスキーはどのように保存すればいいのでしょうか。ここでは、賞味期限や正しい保存方法、気を付けるポイントなどをご紹介します。
1-1.ウイスキーの賞味期限と品質保持
そもそも、ウイスキーには賞味期限はあるのでしょうか。ウイスキーはアルコール度数が高い(42~43度)ので「品質が安定しているお酒」といわれています。そのために、正しい保存状態で未開封であれば、長い間品質を保つことが可能なのです。ボトルに詰めてから30年以上経過している「オールドボトル」(長期間保存された希少なウイスキー)が根強い人気を保っているのも、ウイスキーの寿命の長さを物語っています。年月がたっても体に支障をきたすような変質はしないために、法律でも賞味期限の記載は義務付けられていないのです。また、ウイスキーの水割り缶も、ボトルと同様に保存状態がよく未開封であれば長期間品質を保つことができます。こちらにも賞味期限は記載されていません。
1-2.開封後の保存場所は?
開封後のウイスキーを保存するときは、まず、キャップをしっかりと閉めてください。そして、直射日光が当たる窓際や家具の上などに置くのは避けましょう。湿気や強い匂いを放つ場所も避け、冷暗所に「立てて」保存してください。冷蔵庫は、ほかの食品の匂いが移ったり冷え過ぎたりするのでおすすめはできません。ただし、ウイスキーの水割り缶は冷蔵庫で冷やしたほうがおいしくいただけます。
1-3.ウイスキーの保存で気を付けるポイント
ウイスキーはきちんと保存すれば、未開封でも開封後でもおいしく味わうことができます。そのためには、保存環境に十分気を付けたいものです。温度・湿度・紫外線・開封後は空気に触れないようにするなど気を配りましょう。それぞれの詳細は、後の項でご紹介します。
1-4.ウイスキー保存のコツ
ウイスキーは、未開封であれば長期間品質が変わらないお酒です。しかしながら、1度開封したら保存は未開封のときよりも気を付けなければいけません。高価なウイスキーの場合は、少しずつ飲んでゆっくりと楽しみたいものですが、開封後の味や香りの変化は保存状態や個々のウイスキーによって異なります。一般的に、開封後2~3日は味に大きな変化はありませんが、1週間以上たつと徐々に変化が現れる可能性があります。香りや味わいが衰えないうちに飲み切るのが理想的です。
2.ウイスキーの正しい保存法
「1.ウイスキーの保存について」で、ウイスキーを楽しむためには保存方法に気を付けることが何よりも大切なことがおわかりいただけたでしょう。そこで、ここでは具体的な方法をご紹介します。
2-1.ウイスキー保存に理想的な環境は?
ウイスキーは、アルコール度が高く品質は安定しているとはいえども、デリケートな部分もあります。保存するときの「理想の環境」とは、どのようなものなのでしょうか。
2-1-1.温度
ウイスキーの保存は、温度の高い場所や温度変化が激しい場所は禁物です。
- 直射日光が当たる窓際や家具の上
- 日当たりのいい室内
- ガスコンロや暖房器具のそば
- エアコンの温風が直接当たる場所
- テレビやパソコンなど使用中に熱を持つ家電のそば
以上の場所は避けてください。家の中で一番暗く涼しく温度が一定している場所を探しましょう。クローゼットや押し入れ、食器棚やサイドボードの中などが向いています。しかしながら、「1-2.開封後の保存場所は?」で触れたように、冷蔵庫での保存はウイスキーが冷え過ぎるのでおすすめできません。
2-1-2.湿度
蒸留所内のウイスキーを貯蔵・熟成する場所は、水分の蒸発を防ぐために湿度が高くなっています。湿度はウイスキーの味わいに大きくかかわっているのです。けれども、ボトルに詰められたウイスキーを開封した後は、湿度の多い場所に保存するのは避けてください。未開封のウイスキーも避けたほうがいいでしょう。
2-1-3.紫外線
基本的に、ウイスキーに限らず酒類を日差しが当たる場所で保存するのは厳禁です。温度が上がるのはもちろんですが、紫外線もウイスキーが劣化する原因になります。紫外線は、分厚く濃い色のボトルでも貫通して中身に悪影響を及ぼすのです。直射日光はもちろんのこと、太陽の日差しだけで十分に明るい室内に置くのもやめましょう。
ウイスキーが入っている外箱は頑丈にできていますが、強度だけではなく光をさえぎる効果もあるのです。開封前も開封後も外箱に入れたまま保存するほうがいいでしょう。
2-1-4.匂い
「暗くて涼しい場所」と聞いて冷蔵庫の野菜室にウイスキーを保存する人もいます。けれども、「2-1-1.温度」でも触れたように、野菜室でも冷え過ぎてしまうのでおすすめできません。そして、ウイスキーは強い匂いを放つ場所での保存は禁物です。ネギやにんにく、玉ねぎなど匂いの強い野菜は香り成分が移る可能性があるので避けてください。また、クローゼットの中でウイスキーを保存する人もいますが、防虫剤などは一緒に置かないようにしましょう。
2-2.ウイスキーのおすすめ保存・保管方法
ウイスキーはどのような保存・保管をすればよいのでしょうか。ぜひ、試していただきたい方法をご紹介します。
2-2-1.樽
蒸留所では、さまざまな種類の木を使用した樽を使いウイスキーを熟成させています。木の個性と樽の内面処理によって香りや味が異なるウイスキーができるのです。樽は保存方法としては最適でインテリアとして雰囲気もいいために、以前は酒造メーカーが樽入りのウイスキーを販売していました。
現在では「ミニ樽」と呼ばれる木製の樽が販売されています。1リットル~5リットルサイズがあり、個人のウイスキーファンからバーやレストランなどでも使用されているのです。ミニとはいっても構造は本格的で、内部を焼いた処理を施しています。好みのウイスキーを入れると、木の成分が溶け出して独特の香りと味を楽しめるのです。変化していく様子と雰囲気を楽しむなら、樽で保存するのがおすすめでしょう。樽入りのウイスキーは、高温多湿の場所を避け、できるだけ光が当たらない涼しい場所に置くようにしてください。
2-2-2.箱入り
ウイスキーは基本的に外箱付きで販売されています。厚手の紙製から重厚な雰囲気の木箱まで、価格によってさまざまな種類があるのです。もともと、ウイスキーの外箱や化粧箱は、光や匂いなどを遮断するように作られています。購入後すぐに箱を捨ててしまう人もいますが、ウイスキーの品質を保つためには外箱に入れたまま保存するのが一番です。箱に入れると少し場所を取ってしまうのが難点ですが衝撃から守ってくれるのもメリットでしょう。また、保存方法については意見が分かれますが、一般的には立てて置くことが推奨されています。
2-2-3.アルミシートやアルミホイル
ウイスキーを外箱に保存するときに、より完璧な紫外線対策を施すなら市販のアルミシートやアルミホイルを使用するのもおすすめです。ボトル全体にぐるぐると巻き付けるか、箱の内側にカットしたものを貼り付けてください。
2-2-4.パラフィルム
ウイスキーを開封した後は、きっちりとフタをすることが大切です。けれども、どうしてもボトルとキャップの間にわずかなすき間はできてしまいます。この部分からアルコールが蒸発したり、外の空気が侵入したりすることを防ぐのが「パラフィルム」です。
パラフィルムは、フタ付きの容器を長期間保存するときに湿気や空気が侵入するのを防ぐ、主に実験室などで使用されているフィルムです。テープ状になっているので使いやすく、値段も3,000~4,000円ほどと手頃なのでバーやレストランでも使用されているのです。ボトルキャップとボトルのつなぎ目に巻くことで、ウイスキーの香りや味が飛ぶのを防ぎます。パラフィルムを巻くときには、少し引っ張るようにしながらていねいに密着させて巻き付けてください。巻き付けた後は、箱に入れて立てて保存しましょう。
はい、記事の続きを以下に示します。
2-2-5.オールドボトルの注意点
「オールドボトル」とは、少なくとも10年以上経過したウイスキーで、現在は販売終了になっているものを指します。ウイスキー愛好家に人気がありますが、キャップの気密性が高くないので保存には十分に注意してください。高温の場所に置くと未開栓でも中身が蒸発してしまいます。パラフィルムで栓の部分を密閉してから、ケースや箱に入れて冷暗所で保存することが大切です。オールドボトルは高価なので慎重に扱い、開封後はできるだけ早めに楽しむことをおすすめします。
2-3.ウイスキーをしまう前に気を付けること
自宅でウイスキーを飲むときには、どんなに酔っていても寝る前に後片付けは忘れないでください。暖房が効いている部屋で栓を開けたまま朝まで放置すると味も香りも劣化してしまいます。面倒でも、きちんと栓を閉めて箱の中に入れ保存していた冷暗所に戻してください。
2-4.ウイスキー保存時に気を付けること
「2-1.ウイスキーの保存~理想の環境とは~」でご紹介したように、ウイスキーは高温・多湿・紫外線・匂いに気を付けて保存することが大切です。そして、もうひとつ忘れてはいけないのが地震対策になります。バーなどでウイスキーやブランデーが棚の上に並べられていることが多いせいか、家具の上のほうにボトルを並べている人も少なくありません。けれども、震度の強い地震の場合、床に落ちて割れてしまう危険性が高くなります。ガラスボトルが割れると、お酒がだめになってしまうだけではなく破片を拾い集めるのに苦労するでしょう。高価なお酒ほど目立つ場所に飾りたくなりますが、ウイスキーは箱に入れたまま、できるだけ「低い場所」に保存するようにしてください。
3.トランクルームでの保管術
ウイスキーの保存場所にお困りの方におすすめなのが、トランクルームです。ここでは、ウイスキー保管に適したトランクルームの選び方や注意点をご紹介します。
3-1.ウイスキー保管に適したトランクルーム
ウイスキーの保存に向いているのは、室内型トランクルームです。ビル内で個室になっているタイプなら、天候の影響を受けることなく品物を出し入れできます。以下の点に注意して選びましょう:
- 温度管理:ウイスキーの理想的な保管温度は15-20℃です。この範囲を維持できるか確認しましょう。
- 湿度管理:適切な湿度(約70%)を保てるか確認が必要です。
- セキュリティ:高価なウイスキーを保管する場合、セキュリティ対策が万全か確認しましょう。
- 業者のポリシー:アルコール類の保管に関する特別な規則がないか、事前に確認してください。
3-2.トランクルームでのウイスキー保存の注意点
トランクルームにウイスキーを保存する際は、以下の点に注意しましょう:
- ボトルの保護:未開封でもパラフィルムを栓の周りに巻き付け、アルミホイルで包んでから箱に入れましょう。
- 配置:棚がある場合、地震対策として丈夫なケースに入れてから下段に置くことをおすすめします。
- 温度変化への対策:急激な温度変化を避けるため、出し入れの際は注意が必要です。
- 定期的な確認:ボトルの状態を定期的にチェックし、異常がないか確認しましょう。
3-3.保険について
貴重なウイスキーコレクションを保管する場合、保険の加入を検討しましょう。トランクルームの標準的な保険でカバーされるか、または追加の保険が必要かを確認してください。
以上の点に注意してトランクルームを選び、適切に管理することで、ウイスキーを最適な状態で長期保存することができます。家庭での保管が難しい場合や、大量のボトルを保管する必要がある場合は、トランクルームの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
4.ウイスキーの保存に関するよくある質問
Q.コルク栓の上等なウイスキーをいただきました。保存で気を付けることはありますか?
A.基本的には「2-2.ウイスキーのおすすめ保存・保管方法」でご紹介した方法で保存してください。コルク栓の場合は長期保存で収縮する可能性があります。コルクと瓶(びん)の間にすき間ができ中身が蒸発することもあるのです。パラフィルムで栓の部分を密閉するなどの対策をしてください。保存方法については意見が分かれますが、一般的には立てて保存することが推奨されています。
Q.親の家を整理していたときに、押し入れからウイスキーが出てきました。現在では生産中止になっている製品です。10年以上前の古い製品なのですが飲んでも大丈夫か迷っています。
A.ウイスキーはアルコール度が高い蒸留酒です。保存状態がよければ品質も安定しているので飲んでも問題ありません。ただし、押し入れがどのような状態であったかにもよります。高温・多湿・防虫剤やカビの匂いがするなどの場合、品質が劣化している可能性もあります。開封してから透明なグラスに移し、色・香り・沈殿物の有無などを確かめた上で、味見をし判断したほうがいいでしょう。
Q.残り少なくなったウイスキーは、ほかの容器に移し替えてもいいですか?
A.ウイスキーはできるだけ空気に触れないほうがいいので、密閉性の高いガラス瓶(びん)などに移し替えるのもよい方法です。スキットル(携帯用の小型金属製水筒)というウイスキー用の容器もおすすめです。どちらにしても、移し替えた後はできるだけ早めに飲み切ることをおすすめします。
Q.ウイスキーがたくさんあるのでトランクルームをセラーとして借りようと思います。申し込みをしたらすぐに利用できるでしょうか。
A.業者によってシステムは異なります。多くの場合、入金確認が取れた翌日から利用可能です。お客さまに鍵を送付しますので到着し次第ご利用いただけます。詳細は各業者にお問い合わせください。
Q.家から近い場所にあるトランクルームをウイスキーセラーとして使用したいのですが、未開封と開封済みと両方置いても大丈夫ですか。
A.大丈夫です。ただし、開封後のウイスキーは味や香りの変化が早まる可能性があるため、できるだけ早く楽しむことをおすすめします。「2-2.ウイスキーのおすすめ保存・保管方法」でご紹介したように、密封・紫外線対策をして保存してください。収納するときには開封したウイスキーが取り出しやすいように手前に置きましょう。開封した日にちを外箱の目に付く場所に書いておくと飲む順番の目安になります。
まとめ
お悩みだったウイスキーの保存について解決策を見つけていただけたかと思います。ウイスキーはアルコール度数が高いので長期間品質が安定し、味や香りが変わりにくいのが魅力です。けれども、そのためには置き場所や保存方法などには十分に気を配ることが必要となります。ウイスキー愛好家としては、手間を惜しまずに正しい保存をしたいものですね。
また、家の中で最適な保存場所が見つからないときには、トランクルームの利用も考えてみてください。空調設備やセキュリティーがしっかりしている室内型のトランクルームは、安定した温度や暗く静かな場所を好むウイスキーを保存するには最適の場所といえるでしょう。今や、トランクルームは「不要なもの置く場所」から「大切なものを預ける場所」へと進化しています。ウイスキーを最高の状態で楽しめるように、ご自分に合った場所と方法を見つけてください。